特定保健用食品制度の課題


花王の食用油「エコナ」に、食べると体内で発ガン性物質に変化する可能性のある成分「グリシドール脂肪酸エステル」が含まれることが分かり問題になった。

エコナは「特定保健用食品(トクホ)」の代表格であり、今回の騒動で「特定保健用食品(トクホ)」制度についての課題が挙がってきている。

特定保険用食品(トクホ)とは、国による審査を条件に例外的に「血圧が高めの方に」「脂肪の吸収を抑える」など、パッケージや広告で健康への効能をうたうことができる。科学的根拠もなく効能をうたう健康食品を防ぐ目的で、1991年にスタート。2009年8月28日時点で、表示許可を受けている商品は892品目。
企業は動物実験に加えて数十人程度に製品を使ってもらった測定データなどを国に提出する。市場規模は07年度で6798億円に達している。(財団法人日本健康・栄養食品協会の調査)

今回問題になっている「グリシドール脂肪酸エステル」。消化後に発がん性の濃厚な「グリシドール」に体内で分解させる可能性があることをドイツの研究機関が指摘した。

グリシドール脂肪酸エステルはエコナに限らず、市販の食用油に含まれる。通常の食用油では0.5〜9.1PPMなのに対し、「エコナクッキングオイル」の含有量は91PPMと非常に多い。

メーカである花王は9月下旬にエコナ関連製品の販売を一時自粛すると発表し、10月に「特定保健用食品(トクホ)」の表示許可を自主返上。グリシドール脂肪酸エステルの含有量を減らすなどしたうえでトクホ表示許可を申請し直す方針を発表している。

一方、グリシドール脂肪酸エステルの安全性に関するデータは乏しく、過剰摂取すると有害かどうかは分からない。内閣府の食品安全委員会は厚生労働省を通じて、花王にデータの追加提出を求めており、11月待つまでに提出される見通し。
食品安全委員会はデータが揃い次第、評価の審議を再開する予定だそうです。

今回の騒動が大きくなった背景には、エコナが「特定保健用食品(トクホ)」であった点が大いに関係していると思われる。消費者のトクホに対する信頼が厚かっただけに反動が大きくなり、制度そのものの信頼性まで揺るがす事態に発展した。

エコナ騒動で浮上した「特定保健用食品(トクホ)」制度の問題点の1つが。安全性に疑問が生じたときに消費者庁が迅速な対応を取るのが難しい点が挙げられる。安全性について食品安全委員会の最終結論が出るには長い期間かかることが多く、最終結論が出るまでは表示を続けることが可能である。
また、現行制度だと一度審査を経て表示許可を受けた商品については無期限に有効。科学の進歩とともに新しい知見が出てくることは珍しくなく、一定期間で再評価する仕組みが必要かもしれないと記事にありました。